K-QUAD

このボードのオーダーしようと思ったのは、当時、ロングボードのプロ級の腕前を持っていた友人のK松君と一緒に、夏の鳥取でサーフィンした日でした。

その時期の鳥取といえば、力のない腰程度の波がブレイクするというような小波のコンディション。 当時は、ほとんどのサーファーがショートボードに乗っており、すべてのショートボーダーがテイクオフもままならず悪戦苦闘していました。そんな中、K 松君は、一人、波に乗りまくっていたのでした。
ボクもショートボードで大苦戦。まったく波を捕まえることができずに四苦八苦していました。 仕事が休みの週末、長い長い時間をかけて神戸から海に行って、着いた先で肝心のサーフィンがそんな状況ではストレスがたまる一方です。

「こんなんじゃ、普通のショートボードでは楽しむどころか、テイクオフさえできやしない。どうにかしてボクも波に乗りまくりたい…!!」
当時まだ、ショートボードに強くこだわっていたボクでしたが、K松君の楽しそうな姿を目の前にして、うらめしい気持ちでいっぱいになりました。

なんとかしたい…

そんな思いを持って K-SHAPE の抱井氏に会いに行きました。 「ロングボードに負けないテイクオフの早さと、ショートボードしか乗ったことのないボクでもターンができるボードを作っていただけませんか」 抱井さんは、少し考えて、すぐに愉しそうな表情で応えてくれました。 「分かった。イメージできたよ。楽しみにしておいて」。

2 カ月後、宅配業者からの連絡でボードができあがったのを知り、急いで受け取りに行きました。 大きな段ボールに包まれたボードを自宅で開封すると、そこには、当時では見たことのないアウトラインのボードがありました。

ボードサイズは 6’09″× 21″1/4 × 2″15/16。 浮力を持たせ、テールも幅広にするために、クアッドにしてありました。 レールは厚くダウンレール気味に落としています。 ノーズは少しクラッシック感を漂わせるビークノーズ。 クロスは 6 オンス巻でカラーはグリーンティント。 Fin システムは LOKBOX。


うわぁ、これでボクも乗りまくれるのだ!!

…ところが、このボードが活躍する日はなかなかやって来ませんでした。

2か月ほど経って、やっと、日本海にかろうじて波がありそうな日が来ました。 いつも使っていたショートボードと、新しいこのボードの2本を持って行きました。
到着してみると、予想通り波は小さく膝前後。 しかも日本海特有の、チカラのない弱いブレイク。
こんな日こそ、この最新兵器の出番だ!!
小さく割れる波を前に、冴えない顔をした仲間たちとは裏腹に、ボクはついニヤニヤと喜んでいました。

実際に海に入ると、驚きとともにこの最新兵器の凄さを実感しました。チカラのない弱いブレイクでも簡単にテイクオフできて、しかもターンまで楽しめる。 もう、小さい波でも楽しめるのだ。ボクは嬉しくて仕方がなかった。

現在住んでいるバリでは、この時の日本海のようなチカラのない波は、ほぼ皆無です。 それでも愛着のあるこのボードは手放せなくて、バリに持って来ました。 もうこのボードを使うこともないかもしれないな…
思い出と一緒に、ボードケースにしまいこみました。

しかし、後日、ボクはこのボードに、ここバリで再び驚かされたのです。

ある日、なんとなく思いつきでこのボードを出して海に入り、鳥肌が立ちました。 このボードは決して小波専用のボードというわけではなかったのです。 頭前後のブレイクで、クルーズして楽しめるボードだと、ボクはその時初めて分かったのでした。

今も時々、このボードを出して、チャングー の バトゥボロン や オールドマンズ のオーバーヘッドの波を、ロングボードの奥から、ショートボーダーを横目に波に乗っています。やっぱり今も、初めて日本海でこのボードをおろしたあの時みたいに、ボクはついニヤニヤしてしまうのです。

[ K-SHAPE ]
http://www4.ocn.ne.jp/~k-shape/

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